函館市末広町「来々軒」の店内 海の底のように薄暗く重々しい空気と、モノクロ写真に彩色したようなソファーの赤

時の深海(ふかみ)で

暖簾をくぐるや、猛烈な勢いで時間が逆戻りを始めた。懐かしさを越えたリアルな「昔」に、ただ呆然と立ちすくむ。堆積した時の重圧に体も口も重い。まるで深い深い海の底のようだが、慣れてしまえば不快ではない。むしろ快適だったりする。深海魚には深海魚の暮らしがあるのだから。

撮影データ

2005年9月10日 末広町「来々軒」にて
NIKON D70 1/6秒 F2.8 焦点距離75mm(35mmカメラ換算) 絞り優先 ISO200