徒然的事柄コラム 2005年12月20日

【徒然的事柄】コラム Column@random

002人さまのことは決して言えませんが

左から:カメラ付きケータイ、二眼レフ、一眼レフ、コンパクトデジカメの四人とワンコ一匹

塩害で全滅だった昨年のリベンジを見事に果たした今年の紅葉。色づくことなく散った葉もあったが、10月末ともなれば目にも鮮やかな秋の彩りと相成った。
今年は今のカメラ(D70)で初めての紅葉であり、期待も気合いも十二分だったにもかかわらず、仕事に追われ運に見放され、ため息ついても写真を撮る間はなく、そのまま一気に真冬に突入、結局11月3日の香雪園が本年度最初で最後の”紅葉狩”となってしまった。しかし、そこで目の当たりにしたのは私の予想以上の、いや、予想をはるかに飛び越した光景だった。

想を遥かに上回る予想など、予想だにしていなかった

2005年11月3日−文化の日。函館香雪園(見晴公園)は沢山の人達で賑わっていた。
誰もが−私を含め−お目当てはもちろん、見事に色づいた紅葉。実際には七分ほどの色づきとはいえ、園内随所の彩りは訪れる者の目を愉しませるに充分な色鮮やかさである。
訪れたのは午後2時半頃。日も傾き始め空模様も今ひとつながら、多くの家族連れ、恋人連れ、ペット連れ(そしてその混合タイプ)が、思い思いに秋の一日を楽しんでいた。
自然に恵まれた函館とその近郊だが、それなりにまとまった色鮮やかな紅葉というのは案外と少ない。名の知れた紅葉スポットと言えば大沼公園くらいだろうか。市内では香雪園が唯一と言っても良いほどで、あとは赤川のダム公園、緑園通の一部など、どれもスポットというよりむしろポイント(点)に近い。手近でありながら市内随一の紅葉の名所なのであるからして、当然私もそれなりの賑わいは予想していたのだが、予想を遥かに上回るほどの賑わいは予想だにしていなかった。そして、その賑わいの質というか、ある傾向についても、ちっとも。

こにカメラを向けてもカメラ、カメラまたカメラ

晩秋の香雪園、鮮やかなほどの朱に染まる枝を撮る人

園内を進むにつれ、鮮やかな紅葉が目に入って来てまず驚いた。紅葉の美しさにではない。カメラを構える人の多さにである。いたるところにカメラ、カメラ、カメラ、おまけにカメラまたカメラではないか。巻頭の写真に至っては、普通のデジカメ、フィルム式とおぼしき一眼レフ、カメラ付ケータイに絶滅したはずの二眼レフまで確認できる。
カメラを構えていないのは画面奥の人物と携帯の女性の足下のワンコだけ。そんなに紅葉を撮りたいのだろうか?と思いつつ愚問を認めざるを得ない。四者四様四カメラ、みな紅葉を撮りたいから撮っているのだ。しかし、なぜそんなに撮りたいのか?紅葉を楽しむため?それならカメラではなく自分の目で味わうべきでは?・・・いや、それこそ愚問だろう。

誰より紅葉を撮りまくり、あまっさえ紅葉を撮る人も撮りまくっていたのはこの私である。
人様のこと、決してとやかく言えるワケがないのである。

(2005年12月20日 加筆修正:2007年12月23日、2008年10月11日)